『白衣性愛情依存症』、本当に素晴らしい作品でした

2015年6月11日
レポート

そんなわけで白愛こと『白衣性愛情依存症』の感想まとめです。

Tumblrにてプレー時系列順のリアルタイム感想を投下してきましたが、最後に改めて振り返っての総まとめ的感想を投下しようと思います。
それと各ルートごとのまとめ感想も改めて。

何で総まとめだけがTumblr上じゃなくてこっちでなのかと言いますと、単純に記事が長くなったからってのもあるんですが、Tumblrは「他人様向けでない文字通りの『日記』」として使おうと考えてるため、わざと丁寧語と顔文字と「w」の使用を避けてるもので、思う存分感想を語りたい!!って用途には向かないかなぁと……

で、当然と言えば当然ですが決定的なネタバレをあますところなく含んでいますので、格納した上で思い切りスペース作ってあります。
読んでも大丈夫って方は「続きを読む」をクリックしてください。(直接飛んできた方は下にスクロールしてください。)


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【白恋を先にやらなくて大丈夫なのかな問題の解決】

まず、何はなくとも良かった点はこれに尽きます。

白恋を途中挫折してても全く問題なく楽しめたこと。

正直なところ、実際にプレーするまで不安は拭えませんでした。
やっぱり白恋をオールクリアしてなければ、十分には楽しめないのでは、と。

しかしそれは全くの杞憂だったようで、確かに白恋を少しでもプレー済みだと「おや」と思う要素はあったものの、白愛自体を楽しむには白恋クリアは不要だったと思われます。(自分自身が白恋途中挫折組なので推測でしか言えませんが)

もしも「白恋やってないから手を出しにくい」って人がいた場合に、自分自身がサンプルであるゆえに自信を持って「白恋やってなくても大丈夫」と勧められるなぁと……変な話、怪我の功名の一種なんですかねこれも(;´д`)
 
 

【基本的にお気楽なノリ】

もう一つ大きな評価点として早いうちに挙げたいのがこれですね。何しろ主役のあすかが基本的におバカで楽観的でめげないタイプなので、主観を重ねてるこちらも基本的に気が楽です。もちろん重たい雰囲気のシーンやシリアスなシーン、クライマックスシーンにもなれば真面目なノリになったり精神的に追い詰められたりもしますが、平時はとにかく軽い。失敗してもめげない、挫けない、気にしない。必然的に、見ているこちらも気がすんなりと晴れてきます。
物語の流れの作りも良かったと思います。基本的に長閑でお気楽で、たまにドタバタがあって、気分が沈んだり緊迫したりするエピソードも混ぜつつ、テンションが下がりきる前に明るいシーンでテコ入れして……と言った感じで、非常にバランスが良かったよなぁと。

正直なところ白恋を途中でやめてしまった要因には、「主観が重い」という面が大いにありました。もちろんそれ自体が悪いと言いたいのではなく(「社会人1年生の心の葛藤」も1つのテーマだったそうなので、むしろ完璧に描かれてたのではないでしょうか)、自分自身にとってはしっくり来なかったというだけの話です。あまり出来の良い社会人ではないものですから、ゲームの中でまで仕事の失敗とそれに起因する精神的な痛みを引きずる辛さばかりを味わいたくなかった orz

あとあすかはバカだけど根は不真面目じゃないというか、自分が悪かったことは悪かったと認めるし、自分の弱点や過ちは対策すべきものと考えられるし(実際に対策するかは別としても)、言ってしまえば典型的な「最初はダメダメだけど物語を通じてめきめき成長していく主人公」なんですよね。だから見守っていて心地良い。あまりメソメソしないし、言う時はズバズバ言っちゃうし、頭より先に体が動くし、向こう見ずだし……まぁ私の好みにたまたま合致しただけって可能性もありますが。
 
 

【女性同士のカップルの扱い】

これはソルフェージュの時もそうだったし、恐らく白恋の時もそうだったのだと予測されるので今更言うまでもないことかもしれませんが、「同性のカップルであること」をことさら強調しないのは、個人的には好感が持てました。
世の百合愛好家諸氏の平均的嗜好からは乖離してると自覚はあるのですが、私は百合作品によくある「でも私たち女同士なんだよ……それでもいいの?」みたいなのがあまりしっくり来ないもんで……好きなら好きでいいだろ面倒くせぇ!!ってなっちゃうんですよね心のどこかで……w

それだけに留まらず同性での結婚も何の問題もなく想定され、提示され、実現される世界。名家とされる大原家ですら娘が同性の恋人を連れてくることに全く抵抗無し、随分と思い切った世界になってるもんだなぁと感心したものの、逆に「リアリティ無さすぎだろ」って夢の無い指摘が発生する恐れがあるのでは、とも思ってる部分はありました。

しかしそんな懸念もオールクリア後に「豆知識」を読んで解消。
第1ページの2つめ、「iPS細胞」の項の記述より抜粋。

白愛世界では運用に成功し、同性同士で子を授かることが一般化しています。

ディレクターのみやざーさんか、脚本の向坂さんか、或いは他の方か、どなたのアイデアなのかはわかりませんが、これは前提設定として大きかったように自分は思いました。もちろん現実の同性愛・同性婚の問題は「実の子を授かることができない」という点だけの話ではありませんが、それでも様々な法律・宗教・倫理などの問題を解決していった先に、最後まで根深く残る異論がやはりそれだと思うのです。
そこでちょっとしたSF要素(として良いと思います現代の時点では)を投入することによって、リアリティ云々のイチャモンをシャットアウト。というか既にリアルじゃないんだからリアリティは問題にならない。まさに頓知か禅問答かって話。
 
 

【悪の研究組織的なやつ】

わりと若いうちに百合愛好の道に入っていったものの、子供の頃は少年漫画で慣らしたおっさんの嗜好には、やっぱり燃える設定ではありました。
個人的に上手いなぁと思ったのが、「あすかは『ハズレ』だった」という設定でしょうか。この手の施設にいた過去を持つ主人公って、往々にして隠れた逸材であったり、暴走事故を起こしてたり、とにかく「当たり」として描かれることが多いと思うんですよね。
なので、あすかもどこかで「実は当たりだった」的なオチが出てくるのではと深読みしてたけど大ハズレ、むしろ「ハズレ」であるからこそ盛り上がるシーンもあって、お約束を外すことが良い結果を生み出しているのに感服でした。

惜しむらくは、拝沢しのぶが報いを受けて破滅する場面の細かい回想が描かれてなかったことですかね……やっぱり外道なマッドサイエンティストって壮絶な最期が描かれてこそだと思うので……。いやまぁ、個人的な悪役美学にすぎませんが(;´д`)

この拝沢小児医療研究センターの設定って面白いと思うので、直接の続編が作られないにしても、後の別作品で何かしらの形で絡んできたら熱いなぁとも思います。今作で確認されたのはパイロキネシスと癒しの手と記憶操作ぐらいだったと思うので(なおの高い白兵戦能力もそうなのかな?)、ここで研究材料にされてた能力者は他にもいるんだろうなぁと想像してしまいます。

というか途中で何度か思ってたんだけど、この研究センター、まさか白恋で話に絡んでたのの引き継ぎだったりしないよね……
いや、「癒しの手」の話は白恋を途中までプレーした中で何度か見たもんだから……
 
 

以下は、個別ルートの改めての感想です。
 
 

【かえでルート】

実際のところ、個別バッドエンドの中で一番衝撃受けたのはこのルートでした。(たぶん少数派)
成人向けゲームならまだしも、全年齢向けゲーム(CEROレートはCですが)であの結末はすごいなぁと……何というか、変なリアリティを感じてかなりドン引き。(※賛辞)

ただ、グッドエンド時のかえでの言葉を信じるなら、かえではあすかからこっそり封筒を取り戻したとしても、中身を見ずに封筒を破棄するはずなんですよね。つまり、もしもかえでが「昔の恋人とヨリを戻した」というのが嘘だったとしたら、カラダだけの関係で繋がりを維持しようとしていたのは実は……なんて邪推もあったりなかったり。
まぁ普通に考えたらパラレルの話になってると見て、「バッドエンド時だけはかえでは普通に封筒の中身を見た」って解釈が素直なところなんですけど(;´д`)

グッドエンドに関しては敢えて多くを語る必要は無い気もします。バカップルよ永遠なれ。見つめ合いのシーンは何度見ても腹筋に来ましたよ……

クリア順序としてはこれが一番最初でした。何となく本筋とは外れた外伝的なシナリオなのではと見積もってたので……「そう見せかけて実は最も真相に近付くシナリオなのだ!」って罠が仕掛けられてなくて安心しました……w
 
 

【いつきルート】

バッドエンドは世間様では最も反響の大きそうな内容でしたが、古くはアトラク=ナクァあたりでも体験してきた道なので、個人的には普通に受け入れられはしました。「大きい冷蔵庫」の時点でピンと来たのは少し早すぎたかもしれませんが(;´д`)

あまりグロすぎなきゃカニバリズムは昔からわりと大丈夫な方なもんで……

これよりも先にさくやルートをプレーしてたため、いつきの現在の変貌は幼あすかを真似したものなのかなぁとは薄々思ってはいましたが、ここで正式に確認することが出来ました。ただ、さくやルートをやってる時点では「実はそういう演技をしているだけ」と見立ててたため、現在はすっかりこの振る舞いが染み付いていると明かされた時には結構驚きました。結果的にそれによってあすかvs幼あすかという面白い三角関係に繋がるのだから、シナリオライターさんの敏腕には感服続きでした……

センターで行われてた研究の内容や、序盤からちょくちょく影が見えてた「ラボ」の正体など、あすかを取り巻く闇社会に関する伏線が殆ど回収されるルートでしたね。もっとも、いつきのキャラクター性から考えて、もう少しアクション映画的な展開になると予測してたので、思ったよりは平和な感じで(平和が崩れると一気に悲惨でしたが)最後まで行ったのには少し驚きました。かえでを除く3人のヒロインの中では一番普通に恋愛ドラマしてたなぁとw
まぁあすかに能力が何もない以上、拉致されて助けられる以上のアクション要素も描きようはありませんよね。それこそ前述したように、「あすかが秘められた力に目覚める」みたいな展開が無いと……いやバッドエンド方面でいつきが死亡した時にそういう展開をちょっと期待しちゃったんですけど……

ちなみに、「犬に食われちゃえ☆」は作中で最も爆笑したセリフの一つでしたw
そして「死ねばいいと思うわ」もだいぶ反則……腹筋壊れるかと思った(;´Д`)
 
 

【さくやルート】

いつきルートとは逆に、事前の予測よりも遥かに深く真実に迫って驚いたルートでした。
全てを知った今の段階で考えれば、メインヒロインの片翼なのだから当然と言えば当然なのですが。

こちらはグッドエンドで非常に大きな衝撃を受けました。先にバッドエンドを見てたので、グッドエンドでは「あすかが癒しの手に目覚めてダメになりかけてた臓器を治したりするのかな?」などと予測してて(この時点ではあすかが「ハズレ」であることを知らなかったので)、結局そのままさくやが消えてしまう流れになったのはだいぶ戸惑いました……いくらきょうこがさくやの遺志を継ぐと言っても(いやまぁ後日談小説とか読むと初めは全く継いでなかったみたいですが)、やっぱりヒロイン自身が消えちゃうのって寂しすぎない!?と思ってたら……

ご都合主義ってこういう風に活用するものなんだ と心から感服しました……

センター育ち組の中では遠い未来の後日談が最も気になるルートでしたが、製作サイドもそれは承知しておられたのか、オムニショップ特典の小説や公式サイトのブログでの小説は、だいぶ未来の話になっていますね。特にブログにアップされてる物語は、このルートの結末を見た後だと必見だと思いました。あれをもってさくやルートは真の終幕を迎える と言っても過言ではないほどの内容です。もしもまだ見てない方は、是非一度ご覧になることをオススメします。

バッドエンドは……なんだろう、個人的にはいちばんモヤモヤする感じの結末だったかも。さくやがさくやのままであることを望んできょうこに再移植を受けさせず、亡骸を勝手に運んできたってところなんだろうか。どちらかというとグッドエンドありきで、素直にさくやの望みを聞いていれば幸せなどんでん返しがあったのにね、って感じの結びなのかな。

そういえばこのルート、さくやの魅力はもちろん余すところなく発揮されてるけど、なおが本当に健気で良いですね。いつきルートやかえでルートでもそうなのだけど、他ルートで株を上げ続けるなお。本人のルートに入る頃には自然と思い入れは最高潮になってました。
 
 

【なおルート】

物語全体の中において最も重要な伏線である「あすかの記憶喪失の秘密」「なおの正体」「なおがあすかに隠れて何をしていたか」「屋上で刺されたあすかが何故助かったのか」「拝沢小児医療研究センターの真実」などが回収される、グランドフィナーレとも言えるルートだったと思います。

たまたま最後に持ってきてたので勘違いしてたのですが、特に突入ロックとかはかかってないみたいですね。さくやルートやいつきルートを終わらせていないと理解できない話もそれなりにあったので、その2ルート終了済みの条件ロックをかけても良かった感じもします(;´д`)

姉妹百合好きの身なもので、発売前の情報で「メインヒロインは主人公の妹!」と聞いて大喜びしたものの、その後のいくつかの予測から「あすかとなおは実の姉妹ではない」という展開を覚悟はしていました。それでもやっぱり確定した時にはそれなりにショックでしたが……「みやざーさんよぉ、あすかとなおの姉妹百合っぷり推してたじゃんよぉ」みたいになってました正直。
でもまぁなおはキャラとして好きだし、あすかとのカップリングは別に姉妹でなくとも悪くないとは思うし、とりあえずめげずに進めてたのですが……

まさか、

あんなすごいシナリオが待ち受けているなんて。
 

「本当は血が繋がってない」って言うのは別に百合でなくとも兄妹ものとかでよくあるオチではあります。その後に待っているのは「血が繋がってないなら堂々と恋愛できるじゃん!やったね!」って展開が普通です。そりゃそうです、普通はそうなります。
でも姉妹百合好きの身としては、「血が繋がってる?だからどうした!」ってのを期待してる部分もあるため、義理の姉妹だと確定してしまった以上は、「姉妹であること」を活かした展開は望めないと諦めていたわけです。
 

しかし蓋を開けてみたら
 

実の妹では無いから愛される資格も無い!!

そんなことを言い放つなお!
すげぇよ!! 普通は逆じゃん!? 「妹だから無理だと思ってたけど妹じゃないからOKだよね」って来るもんだよね!?
(注 : 後で改めて当該シーンを見直したらそこまでは言ってなかった……てめぇに都合の良い記憶の歪曲ってすごい。)
 

そしてあすかの返答……

血が繋がってない? そんなの知ったこっちゃない! 私たちは姉妹! なおちゃんは私の妹!!

……何だ、何なんだこのふたり……姉妹じゃないのに姉妹であろうとしている。姉妹じゃない方が都合良いはずなのに姉妹でなければダメだという思考……

姉妹であることが否定されそうになったのに、無理を通して道理を引っ込め、わざわざ姉妹であることを後付けして、その上でお互いを愛するって……
(注 : もちろん曲解である。)
 

Tumblrの方でも言ったけど、これホントね、ひとつ上の次元の姉妹百合だと思ったよ……姉妹じゃないのに姉妹百合。

まったくもって、心から恐れ入りました……
「血の繋がった姉妹で無ければ姉妹百合にはならない」、そんな固定観念に捉われていた自分が恥ずかしい。

二人が互いを姉妹だと思えば、姉妹であることを望めば、
その時点でそれは姉妹百合なのだ……!!

勉強させていただきました。(謹んで土下座しつつ)
 

そんな熱いやりとりを踏まえて、オムニショップ特典の後日談小説……ニヤニヤしすぎて顔の筋肉崩壊するかと思いましたよ……お姉ちゃん好きすぎでしょなお。本編ではクライマックスですらここまで弱いところは見せなかったので、なんというか、まことにごちそうさまでした。
しかし深夜の屋上でのアレコレが演技だったってこと、ゲーム本編では触れてないんだよね……そこは何かしらフォローしておいた方が良いような気がするんだけどなぁ。潜在的には重度のマゾヒストであるなおが何であんな嗜虐的な表情であすかを踏みつけてたのって疑問はどうしたって残っちゃうだろうし。

あとあの後日談小説を読んだ後にバッドエンド見ると切り口の違うハッピーエンドに見えてくる不具合を何とかしてくださらなくて結構です。(満足そうな笑みで)
CERO-Cで首絞めックスとか描いても大丈夫なんだね……ってそうか、ックスの方の要素が無いから問題にはならないのか(;´д`)
でも、ックスまで行ってるときも余裕でありそうな雰囲気だよn

何でもないです。
 
 

【おわりに】

恐らくコンシューマーでテキスト分岐式ADVをオールクリアまでやりとおしたのは、ソルフェージュSH以来だと思います。

最もメインに据えられてるヒロインの物語が姉妹百合になる内容だったからってのも或る程度はあるだろうけど、やはりシナリオのクオリティそのものが非常に高く、更に私の好みにぴったり合致していたのが大きかったのでしょう。

白恋のように後日談的な追加シナリオを納めた作品を望む声もあるようですが、私はこの作品はきちんとまとまったように感じています。なので、ここで終わりで別に構わないのではと個人的には思いました。どのルートのお話も綺麗な結びでしたし。
 

何はともあれ、本当に素晴らしい作品でした。
ありがとう白愛!!